HONYAL NEWS 2025/06

株式会社トーハンから、小型書店開業支援サービス「HONYAL(ホンヤル)」の最新ニュースをお届けします。
HONYALで新しく生まれた本屋さんや、HONYALに関するトピックスを掲載しています。
HONYALのサービス内容につきましては公式サイトをご覧ください。
もくじ
HONYAL新規導入書店をご紹介(2025年6月)
トピックス
HONYAL新規導入書店をご紹介(2025年6月)
盆栽レストラン大宮【2025/6/1OPEN】
住所:埼玉県さいたま市北区土呂町2-6-8
営業時間:11:00-17:00
定休日: 木曜日
Web: http://bonsairestaurant-omiya.com/
SNS: https://www.instagram.com/bonsai_restaurant_omiya/

今日、埼玉県の大宮は鉄道の街として有名ですが、実は知る人ぞ知る「盆栽」の名所でもあります。きっかけは関東大震災で、東京近郊で被災した多くの盆栽園が、よりよい環境を求めて氷川神社の北側一帯に移転してきたことでした。これを機に“大宮盆栽村”が形成され、以来百年にわたり盆栽業者と愛好家の聖地となってきました。
2010年にさいたま市盆栽美術館が開館し、2014年には憩いの場として盆栽レストラン大宮が開業。食事や喫茶はもちろんのこと、レストランで盆栽用品が購入でき、定期的に初心者向け盆栽教室も開催されてきました。近年は欧米やアジア各地からの外国人観光客の姿も珍しくありません。
そんな「盆栽のアンテナショップ」で、新たに書籍の販売が始まりました。品揃えの中心は盆栽や園芸関連書で、入門書から専門家向けの資料まで取り扱います。さらに、盆栽をきっかけに様々な日本文化にも関心を広げてもらえるように、盆栽以外の「和文化」をコンセプトに本をセレクトしています。レストランのオーナーは、盆栽を入り口に本を通じて“和文化好き”の輪を広げ、多くの人が交流できるスポットに育てていきたいということです。
盆栽レストラン大宮の最寄り駅はJR土呂駅(徒歩5分)、散策がてら東武アーバンパークライン大宮公園駅から盆栽村を抜けるコースもおすすめです(徒歩10分~)。
YOMU(よむ)【2025/6/7OPEN】
店主:土屋 誠 氏
住所:山梨県韮崎市本町1-4-32
営業時間:木・金・土曜日 13:00-18:00
定休日:日~水曜日
SNS: https://www.instagram.com/yomu_bookandtea/
https://www.threads.com/@yomu_bookandtea/

韮崎駅の改札を出たらガードをくぐり、線路を背に進み駅前中央通りへ出たら左折して徒歩数分、かつて本陣の置かれた甲州街道に向けて緩やかに下る通りの途中に『YOMU』はあります。和菓子店だった建物をリノベーションして、「本屋+雑貨+喫茶+ギャラリー」にするという意欲的なプランニングは、アートディレクターで編集者でもある店主の土屋誠氏ならではのもの。本のラインナップはアート・デザイン系から、食や文学・人文書、ローカルに根差したものまで幅広く目配りが行き届いています。バックヤードは店主自身のワークスペースでもあり、ここで編集した本も店頭に並びます。
土屋氏は東京で10年ほどデザインや編集の仕事に携わったのち2013年に地元へUターン。“山梨の人や暮らしを伝える” フリーマガジン『BEEK』を創刊し、現在は1万部を配布するまでに。そのほか、富士吉田市で毎秋開催されるハタオリマチフェスティバルの総合プロデュースや、甲州市のワイナリー98winesのデザインディレクションなども手掛けてきました。韮崎では建築設計事務所IROHA CRAFTと共同で、駅前のアメリカヤ周辺の店舗リノベーションやイベント企画に関わり、以前はシャッターが目立っていた街並みに観光客や移住者を呼び込んできたキーパーソンでもあります。デザイングループBEEK DESIGNや出版レーベルMOKUHON PRESSの主宰者として、多彩なコラボレーションの場となる『YOMU』を立ち上げ、「街の変化の一助となることに、より“自分ごと”としてチャレンジしたい」と話しておられました。
クルマでアクセスする場合は、駅前ロータリー内の市民駐車場か、『YOMU』から徒歩3分の韮崎商工会前にある本町ふれあい広場市民駐車場が便利です。
猫誓(びょうせい)書房【2025/6/22OPEN】
店主:上久保 訓 氏
住所:兵庫県西宮市御茶家所町4-14 神戸木國堂3階
営業時間:土・日曜日 10:00-18:00
定休日:平日
WEB: https://hiroe-nitta.org/index.html
(新田博衞記念館 設立準備室)

一風かわった『猫誓書房』の屋号、猫本の専門店かと思えばさにあらず。店主の上久保訓(さとし)氏は、本を通して「美学を実践するヒント」を提供したい、としています。
『猫誓書房』の最大の特色は、そこに並ぶ書籍が美学者・故新田博衞氏(京都大学名誉教授)の個人蔵書に基づいているという点です。2020年に90歳で亡くなった新田氏は、京都大学教授・同教養部長・大阪芸術大学大学院教授を歴任し、長年にわたる思索と研究の足跡ともいえる膨大な資料を遺されました。蔵書のジャンルは狭義の哲学や芸術の範疇を超え、人文科学・自然科学・社会科学を横断し極めて多岐にわたります。生前に薫陶を受けた上久保真理氏(店主夫人)がその散逸を惜しみ、遺志を受けて蔵書を受け継いだところから、“新田博衞記念館”NPO設立構想が立ち上がりました。その基本理念は「世代を超えて語り合い関わりあう場所をつくる」「創造性を養い、新たなつくり手を養成する」「文化を次世代に伝える」とされ、オーダーメイド家具店「神戸木國堂」の支援もあり、活動の一環として『猫誓書房』がオープンしたという経緯があります。
店頭では、故人の書き込みやマーキングが残る蔵書の一部を閲覧でき、同じ本の新品(絶版本は古書も)を購入することができます。購入者は蔵書を参照しながら、新田氏の書き込みを書き写すこともできるとのこと。また、蔵書のほかにも店主夫妻の選書により、考えるヒントとなる本が取りそろえられています。
新田氏はしばしば、ソクラテスの「ただ生きるのではなく、善く生きる」という言葉を引いて、美学の目指すところを説かれたといいます。『猫誓書房』としても、“善く生きるとはどういうことか?”と問い続ける「美学の実践」に意識的な人々に向けて、思索の手掛かりとなる本を提供してきたいということです。
店名の案出にあたり、ソクラテスが「神に誓って」と述べる代わりに「犬に誓って」という言い方を好んだという逸話を念頭に、猫に誓って善き本を届ける『猫誓書房』と決まりました。近視眼的な価値観が幅を利かせる現代社会にあって、今一度先人の叡智に学び、一人ひとりが善や美について考え行動するための、新たな拠点となります。
絵本のこたち【2018年2月OPEN、2025/6/月~HONYALで品揃え拡充】
店主:熊谷 聡子 氏
住所:京都府京都市伏見区横大路下三栖下三栖辻堂町76
営業時間:11:00-18:00
定休日:月・木曜日
WEB: https://cotachi.main.jp/index.html
https://cotachi.thebase.in/
SNS: https://www.instagram.com/satokumagai/
https://x.com/cotachi_books
http://facebook.com/cotachi.books

『絵本のこたち』は、2018年から京都市伏見区で営業中の本屋さんです。
その名の通り絵本を中心とした品揃えですが、子ども限定ではありません。親子連れや子育て世代はもちろん、幼稚園や学校などで読み聞かせをする人、世の中への関心が育つ中高生、より広く社会問題や表現に関心のある人にも思いをはせながら、選書されています。
店主の熊谷聡子氏は、絵本にも大人の味読に堪えるものは多いと考えています。「絵本は大人と子どもが共有できるメディアであり、子どもにとっては社会の窓に、大人にとっては子どもの視点で社会を見るきっかけになる。少子化の今こそ重要な視点だと考えます」とおっしゃっています。また、『絵本のこたち』には文芸や社会課題を扱った読み物も多く並べられています。差別や不公正をなくし、一人ひとりが互いを尊重しあえる真っ当な世の中になってほしいという店主の意思が感じられる本屋さんです。
熊谷氏は、以前は出版社で編集の仕事をされていて、ご退職後は地元の小学校で長年図書ボランティアを務められ、そのご活動に京都市教育長賞が贈られています。『絵本のこたち』開業のきっかけは、学校の図書室をきちんと整理したら、熱心に本を読む子どもが増えたこと。近所にも子どもが歩いて行ける範囲に本屋があれば、との思いがつのり、お住まいの離れを修繕してみずから開店されたのが2018年2月のことでした。以来、原画展やトークイベント、読書会にも取り組まれ、今後もいろいろなワークショップなども企画していきたいとのことです。
このたびHONYALでトーハンとご契約いただき、アートや京都に関する本、また実用・文芸など、より多くの方の関心に応えられるよう品揃えを拡充される予定です。
京都市の郊外に位置し、京阪電車の中書島駅から市営バス乗車5分、バス停下車後徒歩3分という距離感ですが、『絵本のこたち』公式サイトのアクセスマップが懇切丁寧です。古くからの酒造りの町でもあり、気候のよい季節には周辺の散策もおすすめです。
ボヘミ庵【2022年11月OPEN、2025/6/月~HONYALで品揃え拡充】
店主:太田 仁 氏
住所:青森県青森市岡造道1-16-8
営業時間:11:30-23:00
定休日:木曜日
WEB: https://bohemianbook.base.shop/
SNS: https://www.instagram.com/bohemian_bookcafebar/
https://x.com/bohemian_book

『ボヘミ庵』は、2022年から青森市内で営業中のブックカフェ&バーです。青森駅など市の中心部から車で10分ほどの住宅地に位置しています。
遊び心のある店名は、もちろん“自由人”のイメージにあやかったもの。「自由に楽しく生きている人たちと交流できる店になれば」との思いで命名されました。店主の太田仁氏は、高校時代に何げなく手にした一冊の文庫本から本好きに拍車がかかり、社会人になってからもずっと読書に親しんできたそうです。本について語り合うことも好きで、サラリーマン経験と飲食業の修練を経て、20代のうちに『ボヘミ庵』の起業に至りました。
席数は通常20席でフードはメインから副菜まで豊富です。ドリンクもコーヒーなどソフトドリンクに加えてアルコールもバラエティ豊かで、小説をイメージしたオリジナルカクテルも提供しています。
壁にしつらえられた書棚には2,000~3,000冊の書籍が並び、購入してゆっくりと読むことができます。選書に当たってジャンルにはあまり強弱をつけず、本そのものはもちろん、本を通じたコミュニケーションを楽しんでもらうことを意識しているそうです。最近はエッセイや料理本・絵本の動きがよいそうで、お客さんが美味しい料理や飲み物とともに本選びも楽しんでいる雰囲気が伝わってきます。
このたび、店内の改装を機に本のラインナップも充実させていきたいということで、HONYALでトーハンとご契約いただきました。今後の展開がますます楽しみな本屋さんです。
トピックス
6月14日~15日「まちなかアンティークマーケット&ブックストリート」(愛知県豊橋市)に参加しました。

豊橋市の中心街で60年にわたり親しまれてきた大豊商店街。その恒例イベントとして人気を博している「まちなかアンティークマーケット」が、今年はさらにスケールアップし、大豊商店街で初となる「ブックストリート」が同時開催されることになりました。
多くの方とのご縁に恵まれ、ここにトーハンも初参加させていただくことになりました。お客様はきっと本好き、書店好きの方々に違いなく、「胸の内に開店の構想を温めている方もいらっしゃるはず!」と、書店開業パッケージ『HONYAL』のご案内セットをたずさえ、本の移動展示販売車Honjour! Carで行ってまいりました。
各地から集った個性豊かな書店やアンティークショップと軒を並べて、トーハンのスタッフも大勢のお客様とお話をさせていただくことができました。二日間にわたるにぎやかなお祭りの模様をレポートします。
●初日 6月14日(土)
イベント会場にHonjour!Carを乗り入れたのは朝9時半。11時のオープンに向けて、運営本部スタッフや他の出店者がてきぱきと準備を進めています。
トーハンのお隣は同人誌印刷に定評のある大陽出版さん、豊橋の印刷会社です。お向かいは地元ゆかりの漫画家さんが集結した「東三河オールスターズ」のコーナーで、豊橋出身の佐野妙さんや吉良さゆりさんをはじめ、川崎順平さん、大橋裕之さん、しまおまほさん、堀道広さん、浄泉寺住職でイラストレーターの林志宏さんの作品が並びます。
初日はあいにくの空模様でしたが、本が濡れないように気を付けながら、Honjour!Carの跳ね上げ扉を開いてトーハンブースを設置しました。

長机にHONYALパンフレットを並べ、開場時刻を迎えました。サイネージにPCをつないでHONYALのコンセプトムービーをリピート再生します。2024年にHONYALを始めるときプロに撮影してもらった映像で、各地の書店人に出演していただきました。当時、一部の映画館で広告として上映されたもので、この動画はHONYALのWebサイトでいつでもご覧いただけます。
トーハンブースでは、HONYALに興味を持ってくださるお客さんにサービス内容をご案内しました。多くの方が足を止めて聞いてくださり、出版取次という会社があることを初めて知ったという方も大勢おられました。
やはり、日々取り組んでいる自分たちの仕事について知ってもらえるのは嬉しいことです。

Honjour!Carの書棚には、東三河オールスターズの皆さんの作品や地元ゆかりの書籍を閲覧用にディスプレイ。イベント中、何人ものお客さんがお手に取って読んで行かれます。
漫画家さんのブースや、すぐそばで豊橋の老舗書店・豊川堂さんが担当する物販ブースでは、途切れることなく本が売れていきます。
時間によっては漫画家さんご本人がブースに入られ、お客さんと談笑しながら気さくにサインなどもされていました。あとでお聞きすると豊橋市外からのお客さんも多く、中には週末を利用して関東から駆け付けたファンの方もいらしたそうです。あらためて、読者を魅了する作品の力、本のもつ力に感銘を受けました。


●二日目 6月15日(日)
雨雲が去り、前日から一転して初夏の陽気となりました。朝から気温が上がり、午後の屋外では体感で30度はありそうでしたが、好天に誘われて人出もぐんと増え、漫画家さんのサイン会の時間には会場外の歩道にまで長蛇の列ができていました。
アーケードの軒先に出店した約70店の本屋さんや、「豊橋市まちなか図書館」の広場にテントを並べたアンティークショップも明らかに前日よりにぎわっており、商店街の熱気は気温以上のものがあったと思います。
トーハンブースでは、前日に続いてHonjour!Car をミニライブラリーとして提供しつつ、書店開業支援サービスHONYALの紹介をさせていただきました。

立ち読みしがてら、スマートフォンでHonjour!Carの写真を撮っていかれる方が思いのほか大勢いらっしゃいました。Honjour!Carは全国各地のイベントに出かけており、基本的に撮影も大歓迎です。イベントに合わせて選書を行ない、ご来場者向けワークショップのメニューも多数ご用意しています。お呼びいただけそうな機会があれば、こちらからお気軽にお問い合わせください。
二日目のトーハンブースにも前日より多くの方が立ち寄ってくださいました。お子さん連れも含めて幅広い年代のお客さんが街をゆきかう中、HONYALに関心を持っていただけた方の年代も、10~20代の若い方からご年配の方までかなり幅広かった印象です。
イベント自体が「ブックストリート」なので、基本的に皆さん本がお好きな方々だと思いますが、その中でも特に本屋さんへの思いが深い方がHONYALに目をとめられたと感じました。

どなたも共通しておっしゃっていたのは、読書の楽しさと紙の本の大切さ、身近に書店があることの良さでした。
「電子書籍も読むけど、繰り返し読む大切な本は、書店で買うようにしています」
「著者のサインももらえて、自分だけの宝物になるのがたまらなく嬉しい」
「最近は書店が減って不便で、さみしい」
「近所の書店が閉店して以来、こうしたイベントで本と出合えるのが楽しみです」
「個性的な本屋を増やすHONYALの取り組みを応援したい」
「HONYALで開業する人も、トーハンも、どちらも頑張ってほしい」
二日間を通して多くの方々とお話しさせていただく中で、会場に詰めていたトーハンの担当者は、本を楽しむ大勢のお客さんの姿に勇気づけられると同時に、身の引き締まる思いも強く感じました。

大豊商店街で初開催となった「ブックストリート」の賑わいは、本に対する確かな需要のあらわれと言えるものでした。
一方、出版業界をとりまく環境を考えれば、本の流通に携わるトーハンにとっては、世の中の需要に応えて本と人とのタッチポイントをいかに豊かに広げていくか、その取り組みの真価が問われ続けている状況でもあります。
私たちトーハンはHONYALを新たなソリューションとしてご提供しながら、各方面との連携を拡大し、これからも豊かな書店文化を次代へつないでゆくことに貢献していきたいと考えています。

HONYALについて詳しくはウェブサイトからお気軽にお問い合わせください。ご質問や開業相談は随時受け付けています。
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